固定長文字列(CHAR)と可変長文字列(VARCHAR)の違いと実践的な検証

データベースにおいて文字列データを格納する際、よくCHAR型とVARCHAR型のどちらを使用すべきかに悩む場面に直面します。これらはどちらも文字列を保持するためのカラム定義型ですが、内部的な動作や用途、パフォーマンス面で明確な違いがあります。

本記事では、両者の特徴を体系的に整理し、それぞれの使い分け方針を解説します。

また、CHAR_LENGTH() 関数を用いた簡単な検証を通して、特に末尾の空白に関する挙動の差異を明確に確認します。これにより、データベーススキーマ設計時に正しい型を選択できるようになることを目的とします。


1. CHAR型とVARCHAR型の基本的な違い

データベースのテーブル設計において、文字列型カラムはアプリケーションの要件に応じて様々に定義されます。CHARVARCHARはその代表的な型です。以下では、それぞれの特徴を概観します。

1.1 CHAR型(固定長文字列)

CHAR型は「固定長文字列」として定義されます。定義された文字数に満たないデータを格納した場合でも、不足分は自動的に空白で埋められ、常に一定の長さで保存されます。

例:CHAR(10) のカラム定義

CREATE TABLE test_char (
  id INT,
  name CHAR(10)
);

この場合、nameカラムには最大10文字の文字列を格納できます。たとえば「John」(4文字)を格納した場合、実際には「John 」のように6文字分の空白が補完され、常に10文字分の領域が確保されます。

このように、格納サイズが一定であるため検索や比較のパフォーマンスに優れるという利点があります。一方で、実際の文字数が短い場合にも余分な空白分が格納されるため、ストレージ使用量が増加する可能性があるという欠点も存在します。


1.2 VARCHAR型(可変長文字列)

VARCHAR型は「可変長文字列」として扱われ、文字列の実際の長さに応じて必要な分だけの領域を使用します。定義時には最大文字数を指定しますが、その長さより短いデータが格納された場合には、余分な領域は確保されません

例:VARCHAR(10) のカラム定義

sqlCopyEditCREATE TABLE users (
  id INT,
  name VARCHAR(10),
  age INT
);

ここでも「John」を格納した場合、nameカラムには4文字分だけの領域が割り当てられ、ストレージ効率が高くなります

ただし、文字列長がレコードごとに異なるため、インデックス処理や比較演算においては若干のオーバーヘッドが生じ、CHAR型と比較してパフォーマンスが劣るケースがあります。


2. CHAR型とVARCHAR型の比較一覧

項目CHAR型(固定長)VARCHAR型(可変長)
格納長常に固定(空白で補完)実際のデータの長さに応じて変動
空白の扱い末尾の空白は自動的に削除空白もデータとして保持
ストレージ使用量必ず指定長分の領域を使用必要な分だけの領域を使用
パフォーマンス(検索・比較)高い(固定長なので比較処理が早い)若干劣る(文字列長が可変なため処理コストが増す)
適した用途電話番号、郵便番号、社員コード、銀行コードなど住所、コメント、備考、テキストメッセージなど

3. 空白付きデータの挙動検証(CHAR_LENGTH関数)

CHAR型とVARCHAR型の違いの中でも特に重要なのが、末尾の空白の扱いです。
ここでは、CHAR_LENGTH() 関数を用いて、末尾に空白を含む文字列をそれぞれの型に格納した場合の挙動を確認します。

3.1 テーブル定義

CREATE TABLE test_char (
  id INT,
  name CHAR(10)
);

CREATE TABLE test_varchar (
  id INT,
  name VARCHAR(10)
);

3.2 データ挿入(空白付き)

INSERT INTO test_char VALUES (2, 'John  ');
INSERT INTO test_varchar VALUES (2, 'John  ');

3.3 文字数の確認(CHAR_LENGTH)

SELECT id, name, CHAR_LENGTH(name) AS char_len FROM test_char;
SELECT id, name, CHAR_LENGTH(name) AS char_len FROM test_varchar;

3.4 結果と解釈

テーブルnameCHAR_LENGTH(name)
test_charJohn4
test_varcharJohn␣6

※ ␣ は半角スペースを表現しています

解説

  • CHAR型においては、末尾の空白は自動的に削除されたように扱われるため、CHAR_LENGTH()は実際に入力された6文字ではなく、空白を除いた文字数(4)を返します。
  • 一方、VARCHAR型は、空白を含めてすべての文字をそのまま保持するため、CHAR_LENGTH() は6を返します。

この検証結果から、同じ文字列を挿入しても、データ型によって保持されるデータの実体が異なることが明確に分かります。これが、検索処理や文字列比較処理に影響を与える要因となります。


4. 実運用における使い分けの指針

CHAR型とVARCHAR型はどちらが優れているというものではなく、データの性質に応じて適切に使い分けることが重要です。以下に運用上の判断基準をまとめます。

CHAR型を選ぶべきケース

  • データの長さが固定、またはほとんど変わらない
  • パフォーマンス(比較・検索)を優先する
  • 空白をトリムして扱う前提がある
  • 例:電話番号、銀行コード、社員番号、都道府県コードなど

VARCHAR型を選ぶべきケース

  • データの長さに大きなばらつきがある
  • ストレージ効率を重視する
  • 空白も意味のある文字として扱う必要がある
  • 例:住所、備考欄、自由入力のコメント、メール本文など

まとめ

CHAR型とVARCHAR型の違いを正しく理解することは、効率的なデータベース設計において極めて重要です。本記事では、両者の特性を明確に比較し、特に末尾の空白の扱いに注目した実践的な検証を行いました。

文字列データを格納する際には、単に「文字列だからVARCHAR」という安易な選択を避け、そのデータの長さの傾向・検索の頻度・空白の意味などを考慮して、最適な型を選択しましょう。

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